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最高裁判所第三小法廷 昭和40年(さ)7号 判決 1966年2月22日

主文

原略式命令を破棄する。

被告人は無罪。

理由

検事総長馬場義続の非常上告申立の理由について。

本件略式命令請求記録及び所論略式命令書によれば、小樽簡易裁判所は、昭和四〇年三月四日、「被告人は同年二月二七日午後零時二〇分頃、普通貨物自動車札四ま三二〇一号を運転して余市町入舟町先道路において、横断歩道標識より一米の地点に二分間右自動車を駐車し、もって法定の駐車禁止場所に駐車したものである」との事実を認定し、道路交通法四四条、一二〇条一項五号、刑法一八条、罰金等臨時措置法二条を適用し、同人を罰金四、〇〇〇円に処する旨の略式命令を発し、同略式命令は、正式裁判請求期間の経過により、同年三月一九日確定したことを認めることができる。

ところで、道路交通法四四条中、本件に適用されたのは三号であるが、同号には「横断歩道の手前の側端から前に五米以内の部分」とあって、横断歩道の手前のみの駐車が禁止されているにすぎず、横断歩道を通過した先は、横断歩道の側端から五米以内の地点であっても、この規定の駐車禁止の対象とはなっていない。

しかるに、本件略式命令は、被告人が駐車した地点を、横断歩道標識より一米としているのであって、その意味は、記録中の司法警察員作成にかかる現認報告書により、横断歩道を越えた先一米の意味であることが明らかであから、右略式命令は、罪とならない事実に法令を適用して有罪とした違法があり、かつ、被告人のため不利益であることが明白であるというべきである。

よって、刑訴法四五八条一号、三三六条前段により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 柏原語六 裁判官 五鬼上堅磐 裁判官 横田正俊 裁判官 田中二郎 裁判官 下村三郎)

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